わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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昭和良識派の研究(保阪正康)雑感
この本の中からいくつか興味のある章を読んでみた。今日はまず「従軍慰安婦問題の論点、その脆さを考える」から。

氏がどうして従軍慰安婦問題に関する議論に対して強く反発する立場に立っているのか。

いわゆる従軍慰安婦問題について、それを糾弾してやまない論者の論点は、幾つかの事実や実相を見落としているように思う。その基本的な態度は、‥‥「平時で戦時を見る」という視点の位置である。被害者(いわゆる従軍慰安婦)が「過酷な人権侵害状況に置かれたのは」とか「軍事的性奴隷制がアジアの女性に加えた犯罪性」などというその視点の歪みである。人権侵害とか犯罪性というなら、あの時代の戦時下の様相はすべてそれに該当する。(P.210)


これは重要な視点であると自分は考える。人倫は時代とともに変化していくし、戦時・平時といった歴史の局面によってもその基準は変化するものである。したがって、戦争中に犯されたさまざまな犯罪的な行為を批判する際にも、その当時の歴史的文脈の下で、問題を立て、議論をしなければならない。今日の倫理基準をそのまま当てはめて断罪するようなやり方は歴史への向き合い方として正しくない。例えば「女性に対する性差別」ということは今日的には決して許されることではない。しかし同じ基準で数十年前の、それも戦時中の行為をその文脈と切り離して断罪することにどういう意味があるのだろうか?
遠い昔には部族間での首刈りといったことが行われていたという。しかし、これは残虐行為として断罪されるべきだ、とまじめに考えるものは少ないはずである。これは、人倫の基準が移ろうことを理解しているからだ。
当然日本の戦時中の行為についても、どういう歴史的な倫理基準からそれを評価をするのかがあらかじめ議論されなければならない。保阪氏は従軍慰安婦問題を巡る議論の中に、この点からみて雑なものを感じ取り、反発しているようである。
彼は決して日本軍が正しい組織だったなどという議論をしているのではない。むしろその反対である。彼は提案する。

従軍慰安婦問題を論じる論者は、なにも大仰なテーマを振り回すのではなく、「かつてあの戦争で日本軍将兵に暴力的に性の慰安を強制された朝鮮、中国を始め東南アジアの女性たちがいる。その女性たちはその後も苦しみを抱えて生きてきた。(私たちは)その事実を知って、これは許せないと思う。このような悪行を成した日本軍の責任を問い、日本政府の謝罪を要求する」という一点で、論陣を張るべきであろう。私はその論理にはあるていどの説得力もあるし、それには肯く点もあるように思う。(P.207)


人権擁護、差別撤廃、といった方向性はもちろん重要な価値であり、おおいに進めていくべきことだ。しかし、これらの価値自体も歴史的に形成され、確立されてきたものであって、超歴史的な公理ではない。したがって、日本の戦争責任を問うにあたっても、依拠すべき倫理基準がどのように世界において確立されていく過程にあったのかについて、一方で横目でにらみながら、議論されなければならない。
時にこれに無自覚な、現在の視点での断罪が行われていないか。保阪氏はこの点を問い続けているのである。
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