わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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靖国問題(高橋哲哉著)雑感2
佐藤優氏によるこの本についての書評を「正論」から拾った。海馬之玄関BLOGで紹介されていたのを読み、この評の存在を知っていたので、書店の店頭でふと気づいて購入して読んでみた。高橋哲哉氏の評価に関しては特に異存はない。自分との意見の違いはその先にある。

人間は国家と民族という存在から必ずしも自由ではない。佐藤氏はこの事実について、自らの経験に即して述べている。

社会人になるまで私は靖国神社に対する特段の思いはなかった。……しかし、……私は靖国神社が好きだ。それはソ連崩壊前後の七年八ヶ月間、モスクワに勤務して、私は本格的に民族と国家に出会ったからである。……私と親しくしていたロシア人、アゼルバイジャン人、リトアニア人、ラトビア人、グルジア人たちが民族のため、国家のためにならば平然と生命を捨てる構えを持っていたし、事実、命を捨てた人もいる。そこにある種の清々しさを感じた。


日本の戦後社会は民族排外主義の暴走という歴史を背負っているために、民族主義、あるいは愛国主義というものに対する強い抑制をはらんできた。しかし、国際社会に出てみれば、民族主義というものは、佐藤氏が肌で感じたような役割を果たしているわけである。
高橋哲哉氏の著書は、

靖国信仰から逃れるためには、必ずしも複雑な論理を必要としないことになる。一言でいえば、悲しいのに嬉しいといわないこと。……まずは家族の戦死を、最も自然な感情にしたがって悲しむだけ悲しむこと。……悲しさやむなしさやわりきれなさを埋めるために、国家の物語、国家の意味づけを決して受け入れないことである。(P. 51, 太字は原文のまま)


として民族と国家のために犠牲になることの意義一般を否定する立場に立っている。佐藤氏はそれに対する実感に即した批判を行っているのだ。このような佐藤氏の高橋氏への批判は、それ自体は正当なものだと自分は考える。
ところが実は、佐藤氏はおそらく現在の日本国家を背負って外交官としての活動をしたことの制約といえようか、高橋氏とは逆の立場から、民族・国家および靖国神社を同一視し、それを不可分のものとして自動的に賛美する立場に立っている。
しかし少し考えてみると、ほんとうに民族を大切にするとするなら、民族のあり方に対する真剣な模索が伴うはずである。佐藤氏自身が出会った上記のロシア人や東欧の諸民族を代表する人々は、まさにその民族のあり方をかけて闘っていたのではなかったのか。その際にはしばしば、時の国家の公認の「顕彰」システムに反するような行動をも伴ったのではないのか。
佐藤氏は民族主義・国家主義一般を代表するかのように言いながら、実は靖国神社を核とする特定の種類の民族主義を代表しているのではないのか。
民族の将来のために命を張るということと、特定の国家体制や靖国神社を敬愛することは、佐藤氏の場合のようには自動的に一致するものではない。民族主義は国家や靖国のようなシステムの枠をぶち破る力を時には持っているはずのものだ。逆に、高橋氏のような、靖国神社を否定するためには、民族の将来に自分の命をかけるなどということをやめさえすればよい、という立場も、結局のところ同じコインの表裏にすぎない。

結局本質問題は具体的である。靖国神社がどういう国家体制や民族主義を代表しているか。先の戦争をどう評価するか。ここを避けて解決はない。高橋氏の不十分な点は、民族主義一般、国家の存在一般を否定することで一気に本質問題を飛び越えようとしたことにあるように思われてならない。
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