わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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太陽の雫 / イシュトヴァン・サボー(加・ハンガリー99)
帰国してまずはリハビリということで、映画を観にいった。ハンガリー・加などの共同制作映画。ハンガリーの物語なのに英語で進行するのは例によってどうもなぁ。と思ったが、ハリウッド映画ではないし、おかげでヒヤリングのテストにはなったしよかったのかも。
ヨーロッパ社会の昔の家族、しかもユダヤ人家族の物語ということで、「真珠の耳飾りの少女」の時のように、重い気分になるのではないかと心配していたが、それは全くの杞憂だった。評価は
★★★★★
以下ネタばれ

いきなり曾祖父の物語からはじまる。更にその父がなにやら忙しげに室内で立ち働いている状態で登場する。かとおもったら、いきなり仕事中の大爆発事故で亡くなってしまう。で、彼が残したのは一つの美酒のレシピであった。ここから家族の4世代にわたる物語がはじまる。曾祖父の父の死はあんまり急のことだし、あっけらかんとあっけないもので、特に悲壮感なく昔話として了解されて素直にストーリーに入っていけた。
曾祖父はそのレシピを持ってハンガリーへ。美酒商売で大もうけして家を成す。そしてその息子や娘、更に孫へと物語は受け継がれてゆく。第一次大戦やベルリンオリンピック、さらにナチスの暴虐からソ連傀儡の社会主義政権期へと時代は変転を続ける。その中で翻弄される家族の生き様が綴られるのだが、時代の多様性とその中における人のあり方の多様性の両面において、たいへんリアルな、説得力のある人物描写がなされていく。国民国家成立の過程に立ち会い、ユダヤ人ながらそれへの忠誠を誓い、皇帝の死とともに自らの運命をも閉ざしていく者。いつの世にも富める者の対極にある貧しいものたち・労働者たちへの同情から革命を指向する者。ユダヤ人であるが故に受けた屈辱からフェンシングでのし上がり、金メダリストにまでなりながら、いやむしろそれ故にユダヤ人であることを否定してゲットーの中で暴行のすえ殺される者。そうして父が殺されていくのを目の前にしながらただ脅え立ちつくすだけであった息子は、その負い目からナチの残党狩りの急先鋒を担わされていく。こうしてそれぞれが思想性と民族性とに影響されながら、歴史の変転とともに必然に導かれながら一つの人生を歩んでゆく。
これらの人生のどれを我々は否定することができようか!
時代に翻弄されるということは、そういうことなのだろう。
そんななかで、家族というものの強固なよりどころとしての機能が浮き彫りになってゆく。安らぎの地としての家族。そして、そんな人生を生きる知恵を連綿と伝え蓄える場としての家族。結局最後に主人公が前を向いて歩いていく力の源となったものは、「美酒のレシピ」(それ自体は失われてしまうが)に象徴された、家族の歴史を背負うものとしての自己確認だったのではないだろうか。
ユダヤ人においては家族はそういうよりどころなのだろう。我々アジア人にとってはその単位は「村落」なのかもしれない。あらゆる知恵を連綿と伝える村。イエ・ムラ。こういうローカルなものの持つ自律的な力を侮ってはいけない。それこそが人の歴史をつなぐものだからだ。
今、人はバラバラにされ、「祖父・祖母の知恵」は失われ、単一のメディアがその代わりであるかのように振る舞っている。この危うさを自覚しておいた方がよいだろう。
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