わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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アルジェリア人質事件と予想される対立を不毛なものにさせない論点
アルジェリア人質事件は、海外での仕事もある僕にとって他人事とは思えない。
アジアを主なフィールドにしているのでアフリカの事情はよくわからない。イスラム圏にもよく行っている。
イスラム圏と言ってもひとくくりにはできない。たぶん「アフリカの人とアジアの人の違い」などという比較もほとんど意味がないだろうと思うが、国際社会のゆがみを反映して時に武装勢力が潜み、人質に取られたりといった事件がいつでも起こりうるという点では共通している。
僕は日本人は一般的に言ってどこの国の人に対しても対等に接しようとする気質を発展させた国民だ。こういう態度は現地の誠実な人たちには好かれていると思う。今回の事件に対する痛恨の思いを共有できる友人が、アルジェリアにもいっぱいいるだろう。幾世紀もの歴史の流れが我々と彼らの涙を購う時が来ることを信じたい。

今回の事件を機に、自衛隊法の改正が議論されているらしい(ウォール・ストリート・ジャーナル)。「今回の(アルジェリア人質)事案で、どれだけのことができるかとなると、やはり国内の法の縛りが、かなり厳しい」と防衛相が述べたという。海外という代物に対する恐るべき軽薄な認識には恐れ入る。だったら縛りがなかったら何ができるというのか? と反問したい。自衛隊が言ってドンパチすれば解決する? お花畑は大臣、あなたのほうだ。

ところがおそらくこの流れに対する予想される大方の護憲派の反発は、「事件を自衛隊海外派兵に利用するとはけしからーん」というものだ。いいでしょう。自衛隊派遣を原理的に拒否する人はそれで納得するかもしれない。だが、一般国民はそうではない。もし何かできるのであれば、法的な整備を行い、同胞の命を救いたいと思うものである。僕だってそう思う。問題は、自衛隊の海外派兵を許すかどうかなどと言う国内問題ではないのだ。このような半ば内戦のような事態に、外国の軍隊が介入することの性質をどう考えるのか。当該国のシステムを飛び越えて海外の軍隊が物事を解決できるほど、人質事件は甘いものなのか。軍事介入の結果、内戦の片棒を担ぐのだがそれでいいのか? こういう問題なのだ。

二つの問題を突きつけるべきである。
①海外に自衛隊を出すというが、では今回の事態に対して、自衛隊をどのように使い、邦人の命をどう救えたというのか。状況に即して具体的に言ってみろ。ということ。
②他国の半ば内戦のような内紛に対して、日本国家として軍事という国家権力のむき出しの姿を現して肩入れをすることになるのだが、責任をもてるのか。ということ。
このような複雑な問題に対して、事実上の軍隊を出して「邦人救出ドンパチ作戦で解決」などという対処を本気で考えているのか。国家として蒙昧すぎる。そのことを正面から問うべきだ。

だが嫌な予感がする。邦人の海外での安全をまじめに考えようとする一般の人々と、自衛隊派遣反対原理主義の立場から自衛隊派遣反対を叫ぶ「護憲派」との対立。一般の人々が「邦人救出ドンパチ作戦」の蒙昧に気づかずに護憲派に距離を置く。国際社会の現実を踏まえた立場からの護憲の主張ももろともに孤立。という流れが見える。これを防ぐ知恵が護憲派に働くだろうか。心配だ。憲法9条は日本の宝だから自衛隊派遣に牢固として反対することで満足を得る回路がだてに強固にあるからだ。

今回のアルジェリアの事件に巻き込まれた日本人全員と多数の外国人が所属していた日揮は海外へ進出を進める日本企業の典型だ。同社は世界中で石油や天然ガス施設を建設し、連結売上高に占める海外比率は2012年3月期に72%と10年前の59%から拡大している。こうした事業の多くはイラク、ナイジェリア、ベネズエラなどアルジェリアと同様危険な国で行われている。

海外に滞在・勤務する邦人数が増加するなか、その保護の強化を求め、2010年には当時野党だった自民党の小野寺防衛相ら国会議員が、救出作戦への自衛隊派遣についての規制緩和を盛り込んだ自衛隊法改正法案を提出した。同相ら与党議員は今週、国会でまだ取り上げられていなかった同法改正案の検討を要求している。



事態は深刻である。海外に進出した自国資本を守るために、自国の軍事力の影響を及ぼすことを愧じない。帝国主義の論理まであと一歩だ。自国の進出先の国家主権を顧みない。いいでしょう。もう一度世界分け取り戦争の時代に戻るのですね。

危機管理を専門とする青森学院大学の大泉光一教授は、「日本人もわが身は自分で守るようにならなければならない。日本政府は立ち上がって治安の悪いところで活動する企業をサポートをすべき。自衛隊法の改正も必要だ」と述べる。



これも一種の平和ボケの表れでしょう。危機管理というけれど、現在享受し安全を支えている国際社会の秩序の根本を支えている論理を忘れ掘り崩して気づかない。そして軍隊の派遣ということが、警察力とは質を異にした国家権力の暴力の発揮であることを直視できない。国際社会の現実の屋台骨としての世界秩序と、憲法9条の急進的な理想主義との間にある微妙な位相のずれを自覚した、レジリエントな護憲運動がなければ、日本の軍事化は避けられないだろう。中国リスクの存在の下で、日本の決定的な破局につながりかねない危険な事態だ。

国際社会の安定を危ういところで何とか支えている国家主権という歴史的に築かれた原則。この屋台骨を掘り崩すものたちの蒙昧に距離を置く知恵をこそ、本当の保守派は発揮できるはずだ。世界を壊さないために、保守派の役割は大きい。
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