わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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あえて読む「体制維新―大阪都」
橋下氏の考えについては、いろいろ忙しいこともあってよくは存じ上げていない。ただ、教育基本条例については条文を少し読ませていただき、貧困な教育観を批判する記事を書かせていただいてはいる。
この間維新の会が大阪市長選挙、大阪府知事選挙に圧勝し、彼の存在感は一層大きなものとなり、来たるべき選挙でも勝ち馬に乗ろうと、自民も民主も秋波を送り始めている。だが、本当に彼の立場には、日本の明日を構想するだけの内容があるのだろうか? よく見極める必要がある。
そんな時に書店で手にしたのが、『体制維新―大阪都』(橋下徹・堺屋太一著/文春新書)であった。まずは読み始めることから。そのうえで対話をする必要がある。

今日の時点でまず感じたことを二つ。

堺屋氏は、長く続く日本の不況とデフレを克服するためには、人事や政策をいじってもダメで、いまこそシステムを変える必要がある。と強調する。ともかくも「構造を改革するのだ」ということだろう。確かに人のすげ替えや、根本を回避した政策の組み合わせでは立ちいかないというのはその通りかもしれない。だが、この間接している中野剛志氏や柴山桂太氏らと比較をするとなおさら、現在直面している問題に対する分析が感じられない。ともかく「変える」にしても、何をどう変えるというのか。この点では中野氏等の論にははるかに普遍性と見通し・具体性を感じられる。堺屋氏の議論は都合の良い成功事例の引用と、通俗的な日本社会論、比喩で成り立っており、基本的にはやはり作家の感性に依拠している。これで現代の問題に本当に対処しうるのか不安に感じられる。

一方、橋下氏の議論のうち、改革的実践者としての心構えについては、学ぶところも多いように感じられた。何ごとかを変えようという場合に、すべてバランスよく、すべての人を納得させて、何の強権もふるうことなく事が運ぶことがあるだろうか? 橋下氏を「独裁者」として嫌悪する向きが多いようだ。やや非常識に映る言動が「良識派」には許せないのかもしれない。だが、その実行が、一種の「独裁的」な手法を必要とする場合もあるのではないか? 「良識派」は本当にそれだけのことを実行し、市民の期待に応えることができるのか?
しかし、橋下氏もやはり問題の背景の分析には突き当たっていない。二重行政という「システムの問題」を取り上げ、市民生活に近い部分とより大きな戦略を担う部分に分けようという主張などについては、わからないでもない。だが、これは実のところ些末な「手」の問題ではないか?
危機に瀕する企業体等がその最後の段階でやたらと組織をいじりたがり、問題の本体と格闘できなくなっていく状態に似ていないか心配だ。危機をあおっているのだが、実は本当に深刻な問題の根源には気付いておらず、深刻さの下での焦燥感のみをエンジンとしているように感じられる。今回の橋下フィーバーも、結局のところ有権者を巻き込んだ巨大な焦燥の産物なのではないか。その印象がぬぐえない。
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