わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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ゲド戦記・原作者のコメントについて
「ゲド戦記」原作者ル=グゥイン氏によるジブリアニメに対する辛口コメントが新聞等で話題になっています。原作は買ったけれどまだ読んでいないのですが、グゥイン氏のコメントにはほぼ同意できます。僕の感想は前のエントリーで書いたとおりで、共通点も多いようです。ただ、アレンの人格設定への批判に関して言えば、日本の子供の置かれた状況を知らないから辛口コメントになったのではないかなぁ。

ル=グゥイン氏は、以下のようにアニメ「ゲド戦記」を批評しています。

全体としては、美しい映画です。しかし急いで作られたこの映画のアニメーションでは、多くの細部がカットされています。そこには『トトロ』の細密な正確さもなければ、『神隠し』の力強い、すばらしく豊かなディテールもありません。作画は効果的ですが、斬新さはありません。


世界の構成が曖昧かつ平板であること。手法は使い古されていて新しいものが見られないこと。この2点において、ほぼ同様の感想を僕も持ちました。

映画の“メッセージ”も、やや強引に思えます。しばしば原作から引用してはいるものの、生と死、均衡などの言葉が、登場人物やその行動から導かれたものになっていないからです。意図はどれほどすばらしくても、物語や登場人物の内面を反映しておらず、“苦労して身につけた”ものではないため、説教くさいだけになってしまっています。


これは、作品の中でテーマを物語として消化できず、せりふで語らせてしまう傾向をさしていると思われます。

たとえばアレンの父親殺しは、映画では動機がわからず、恣意的なものに見えます。影/分身に命じられたという説明はあとで出てきますが、説得力がありません。なぜ少年は2つに分裂したのか? 手がかりは何もありません。これは『影との戦い』から採られたエピソードですが、原作ではゲドがいかにして影につきまとわれるようになったか、その理由も、最後には影の正体も明らかになります。わたしたちの心の闇は、魔法の剣の一振りで追い払えるようなものではないのです。


このくだりは、前半については少しアニメ「ゲド戦記」を弁護したいと思います。この少年像については、おそらく日本ではそれほど説明を要しないのではないでしょうか。自己肯定感を喪失して自らの主人公となれない若者像。キレやすく、しばしば大きな犯罪を犯す若者像。これらは、マスコミによるフレームアップもあるかもしれませんが、日本人であればあまり説明をしなくても表象可能な概念でしょう。
しかし、後半については同意します。問題を抽象的な勇気によって解決させるというプロットには不満があります。自己肯定感を喪失して分裂した若者が統一された自己を取り戻すためには、やはり世界に対する自己の位置づけをなすことが必要だと思います。ところがアニメでは要するに心の持ちようの問題に解消されています。

しかし映画では、邪悪さはわかりやすく悪党という形で外部化され、魔法使いクモが殺されて、すべての問題は解決してしまいます。

現代のファンタジー(文学でも政治でも)では、いわゆる善と悪との戦いにおいて、人を殺すというのが普通の解決法です。わたしの本はそうした戦いを描いてはいませんし、単純化された問いに対して、単純な答えを用意してもいません。


これも本質的な批判です。善と悪、光と闇、正と邪は入り組んでいる上に、互いに相手を必要として展開をする必然性を持っている。アニメに表現された世界は単純化しすぎでしょう。

スタジオ・ジブリの吹き替えは優秀ですが、このたび日本語の音声を聞けたのは嬉しいことでした。ゲドの温かく暗い声は、とくにすばらしいものです。テルーの歌う愛らしい歌は、吹き替えでもそのまま使ってもらいたいと思うほどでした。


菅原文太のどすの聞いた声が世界で通用するとわかったことは大変な収穫ではないでしょうか? このコメントは全体としては胸の痛むものではありましたが、ゲドの声についての評価については、非常にうれしく感じました。
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ゲド戦記

ゲド戦記は、アーシュラ・K・ル=グウィンの小説「ゲド戦記」を原作とした長編アニメーション映画。 気になる言葉【2006/09/16 15:12】

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