わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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核兵器使用を抑止する力
第2次世界大戦末期、日本に対して2発の原子爆弾が使用された。しかしそれ以降核兵器は一度も使用されていない。これについて、核軍事力の均衡による核抑止力が働くことが有力な理由として挙げられてきた。この「リアリスト」の立場に立つと、核兵器使用に反対をさけぶ反核運動ほど愚かしいものはないということになる。今日、イランに対する核使用の検討が伝えられているが、こういった事態を招来しないために必要なことは何か。本当に「リアリスト」の立場は核使用を防止するための冷静で客観的な処方箋を与えてくれるのだろうか?
日本の核武装を主張する伊藤貫氏の議論(「増大する中朝の核脅威『核武装』という日本の選択」・伊藤貫&東谷暁・別冊正論Extra.02)をもとに考えてみた。

伊藤氏の議論のおもしろいところは、核兵器に関する限り、軍事同盟に基づく「核の傘」論理は幻想であることを論証していることだ。

ドゴール大統領やガロア将軍が指摘したように、「米国の提供する核の傘」は所詮フィクションにすぎず、自主的な核抑止力を持たない国が、集団的自衛権を発動して中朝露等の核武装国を相手とする戦争に参加しようとするのは、最初から非論理的な話なのです。

なぜなら、

もし中国やロシアが日本に核攻撃を加えたとしても、アメリカ政府がそれを理由に、これらの核武装国とミサイルの撃ち合いをして数千万のアメリカ市民を死亡させることはありえないから

だ。
自分もこの立論に賛成できる。非核保有国は決して核抑止力によっては核攻撃から守られない。伊藤氏はこの認識を基礎に、日本の核保有の必要性を説く。
核攻撃を受けないために何が必要か、に関する伊藤氏のこの議論にはなぜ説得力があるのか。この説得力を生む源泉は、「リアリスト=パラダイム」と「ウィルソニアン=パラダイム」を対置し、明確に前者の立場に立つことを宣言して立論するところにあると、自分は考える。
この「リアリスト=パラダイム」は国際情勢をはじめから軍事力均衡論によって考察する。そうする限り、軍事力という計測可能な量の比較に問題を帰着させることができ、論理的な検討が可能となる。「新自由主義」が純粋な市場経済原理主義の立場から説得力のある議論を展開してきたのと同じように、純粋な軍事力均衡論の立場から説得力のある議論を展開することが可能となるのである。
この「リアリスト=パラダイム」について伊藤氏は、

強制執行能力を持つ世界政府や世界警察軍が存在しない現状において、国際法と国際組織に期待・依存するのは現実的ではないから、バランス・オブ・パワーを?勢力均衡、特に軍事力の均衡?崩さないように国際関係を運営するのが、最も手堅く安全なやり方だ

とする考え方と特徴づけている。
一方で「ウィルソニアン=パラダイム」は

国際法強化、国際組織の充実、経済の相互依存性の増大が進めば、世界の諸国はお互いに戦争をしなくなる・・・諸国間の利害の対立は国際連盟における理性的な話し合いと国際法の強化によって解決できるはずだ。

とする考え方である。
核兵器の使用を許さないと考える人々の運動は、明らかに後者の考え方である。国際世論などというものに依拠をする、現実を見ない空想主義ということになるだろう。したがって、「リアリスト=パラダイム」からは全くの無意味な(愚かしい)行為だということになる。
しかし、戦後60年以上にわたって一度も核兵器が使われることがなかった、という事実についてもう一度よく考えてみると、それを「リアリスト=パラダイム」の立場からどう説明できるのかがよく分からない。「核の傘」によって守られていないはずの非核保有国の数々が「核武装国を相手とする戦争に参加」してきたにも関わらず、なぜ一度も核兵器使用がなされなかったのか。
つまるところ、核兵器をめぐる軍事力均衡とは明らかに別の要素が国際政治を実際に動かしていることを認めなければ、戦後政治は理解できないことを意味している。だから、核兵器を使われたくないと考える人々は、そう思う理由を主張しておおいにアピールすればよい。この行動は無意味ではないし、戦後政治の現実を見る限り、むしろ非核保有国に対する核兵器使用の決定的な抑止力である。

[追記:20060430]
この議論に絡んで、コンストラクティビズム(構成主義?)という国際政治学の潮流があるそうだ。結構気に入ったので、別のエントリーでこれに触れてある。参考にしてください。
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テーマ:戦争・原爆 - ジャンル:政治・経済

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