わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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「国家の品格」と数学
藤原正彦著「国家の品格」が売れているようだ。自分も読んでみた。武士道とか情緒と形の文明などと一見文科系の本のように見えるが、これは理系・数学の本なのである。というとちょっと奇をてらいすぎ。
だが、重要なことは、論理の次元と価値の次元があるということだ。数学の世界では、公理系を措定し、それを前提として論理的に正しい推論を行い、あらゆる定理が証明される。
社会のあり方についても同様の構造があると藤原氏は考える。すなわち論理的に正しいことをもとめる(つまり定理をみちびく)だけでは不十分であり、現在自分が乗っかっている公理系を問う必要があるということだ。それを藤原氏は価値と呼んでいるのである。

現在日本が載っかっている公理系は何か。一つは新自由主義の公理系だろうか。この公理系は徹底的に論理的に正しげな構造をしていて、要するに個々人の自由な経済活動に社会をゆだねることに公理系を置く。この体系の面白いところは、さまざまな言明の真偽をそうとう明瞭に導くことができる点である。ある政策体系が「正しい」かどうかは、公理系が簡単明瞭であるために、わりと簡単に決めることができる。「官から民へ」「小さい政府」「自助努力」といった政策理念の論理的に正しは簡単に示すことができる。だがそれは公理系を認める限りでのことだ。実際の経済がこの公理系に従うとは限らないのが深刻なところだ。
こういったまやかしの「論理的に正しい」定理にまどわされることなく、公理系を問い、選択する自由があることを明瞭に示している点で、この本は重要である。数学は自由な精神を必要とする学問である。その面目躍如といったところだろう。
一方、歴史の見方などについてはいろいろつっこみたいところがある。ロックの自由論を「でたらめ」というが、中世の制約から自由を勝ち取ろうとした闘いの意義をまったく理解しない傍観者としての発言だ。歴史は論理によって進むわけではないことを忘れてはいけない。正しい公理系だから、ましては正しい論理だから、より古くて誤った考え方を押さえてある新しい考え方が広まるのではない。ロックの批判の仕方を見ていると、このあたりが未整理なのではないかと感じさせられる。
また、第一次大戦時に「主要国間にはそもそも、領土問題もイデオロギー問題もほとんどなかった」と言い切るなどはあんまりだろう。だから、内容については話半分で聞いた方がよいと思う。

とはいえ武士道云々についてもこの本の重要な論点であり、一度考えておきたいところだ。今日は時間がないのでまた別の機会に。
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