わにぞう日記
日常のなかでいろいろと見たり考えたりします。でも、多くは忘却してしまいます。何かの時に思い出せるように。交流の中で意見が深められたり変わったりするのもおもしろいですね。
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「政治改革」の源流あたりをみてみる
21世紀臨調は、小選挙区制の導入から「マニフェスト選挙」にいたる「政治改革」の流れを代表してきた運動体である。この組織のホームページには、1988年以来の政治改革の流れがまとめられている。このページをみながら思ったことをともかく忘れないように書き付けておこう。
このページで歴史の最初に掲げられている出来事は、
5月 2日 社会経済国民会議「議会政治への提言?戦後政治の功罪と議会政治の将来?」公表
である。

この「社会経済国民会議」は現在の「社会経済生産性本部」であり、財界系の重要なシンクタンクである。「戦後政治の功罪」がタイトルの中で重要なキーワードであるが、このキーワードで検索をかけると関連する研究が一つ見つかる。「社会経済国民会議」の1987年に「総合研究開発機構(NIRA)」の委託研究の一つとして行われた、岡野加穂留氏による研究「戦後世代の価値観変化と行動様式の変容に関する調査研究」である。今や「郵便局ファンの会」の会長である岡野氏が出てくるのには少々驚いたが、その後「政治改革フォーラム」を主導する一人であったようだし、自然なことともいえるのかもしれない。この研究抄録を引用すると、

戦後世代は伝統回帰,保守回帰したのではなく,戦後,政治と有権者とを結びつけてきた諸々の既成観念,組織,制度がその役割を果たさなくなりつつあると理解すべきである。本報告書は,戦後世代の意識変容の構造分析を通じて,戦後政治の功罪を問う新たな規点を提出し,現代日本の「政治的意味空間」再生の条件を検討する。


とある。この中身は残念ながらこれ以上よくわからなかったが、「戦後政治の功罪」は重要なキーワードである。このキーワードで引っかかるものは主に、「55年体制」を語るものである。例えば、「政治の何を変えるのか : ポスト55年体制への道」(仲衞著)という本がある。さて、55年体制という言葉で今日我々は何を表象するか。要するに、

自民党の万年与党化と社会党の万年野党化を定着させ、日本の議会政治を形骸化させた55年体制。


ということである。このころはちょうどリクルート事件が喧しい時期で、自民党は深刻な危機にあった。問題を自民党の政策や体質にではなく、万年与党と万年野党という仕組みに見る「政治システム」改革主義はこのころから鮮明にあらわれはじめたといえるかもしれない。
一方で、小選挙区制の流れも新たな文脈をのもとで持ち出されることになる。自民党は世論に押される形でこの時期(1989年5月)、自民党としての政治改革の方向性を示す「政治改革大綱」を発表している。

〔改革の方向〕
われわれは、時代の変化に即応して行財政改革、税制改革など一連の制度改革を断行してきたが、かねてより、その土台をなす政治のあり方もまた見直すべきであると考えてきた。とくに今回の疑惑は、われわれにたいし健全な議会制民主主義、政党政治の再構築をあらためてつよく決意させた。いま、国民の政治不信、および自民党批判の中心にあるものは、?政治家個々人の倫理性の欠如 ?多額の政治資金とその不透明さ ?不合理な議員定数および選挙制度 ?わかりにくく非能率的な国会審議 ?派閥偏重など硬直した党運営などである。
なかでも、政治と金の問題は政治不信の最大の元凶である。これまでわれわれは、政治倫理は第一義的には、個人の自覚によるべきであるとの信念から、自らをきびしく律する姿勢の徹底をはかってきたが、多額の政治資金の調達をしいられる政治のしくみ、とくに選挙制度のまえには自己規制だけでは十分でないことを痛感した。
したがってわれわれは、諸問題のおおくが現行中選挙区制度の弊害に起因しているとの観点から、これを抜本的に見直すこととする。さらに、公私の峻別や節度ある政治資金とその透明性を制度的に裏付けることなどによって政治倫理の向上を期し、国会運営、党運営においても十分に国民の負託にこたえられる政治環境をととのえることを目的に、政治制度全般の改革をはかる。


つまり、問題は「しくみ」にあるのであって、内容にあるのではないという認識である。そして、それを解決するためには、小選挙区制だというのである。今日世に流れている小選挙区制賛美の論理は、ほぼこの文書の中にある。引用しておこう。

政治改革の柱となる主要課題のおおくは、いずれも中選挙区制の見直しと分かちがたい関係にある。したがってわれわれは、政治改革の根本にこの問題をすえ、現行中選挙区制の抜本的な見直しをおこない、あらたな選挙制度への移行をめざす。
中選挙区制下においては、政党本位でなく個人中心の選挙となりがちである。多数党をめざすかぎり、おなじ政党のなかでの同士打ちはさけられない。このことは、日常政治活や選挙運動の重点を政策以外におく傾向に拍車をかけ、利益誘導の政治や、後援会組織の維持と膨大な有権者への手当のため、多額の金がかかる選挙を生む原因となった。さらに、これらが高じ、政治腐敗の素地をまねくなど、国民の代表として行動すべき政治家の資質、活動のかなりの部分をそこなうにいたっている。
一方で、この制度における与野党の勢力も永年固定化し、政権交代の可能性を見いだしにくくしている。こうした政治における緊張感の喪失は、党内においては派閥の公然化と派閥資金の肥大化をさそい、議会においては政策論議の不在と運営の硬直化をまねくなど、国民の視点でなされるべき政党政治をほんらいの姿から遠ざけている。
選挙区制の抜本改革は、現行制度のなかで永年過半数を制してきたわが党にとって、痛みをともなうものである。しかしわれわれは、国民本位、政策本位の政党政治を実現するため、小選挙区制の導入を基本とした選挙制度の抜本改革にとりくむ。そのさい、少数世論も反映されるよう比例代表制を加味することも検討する。


結局この通りの流れになっていることがわかる。

「旧態依然たる派閥政治・金権政治・政権交代ができないことには本当にいらだつばかりだが、この原因は中選挙区制という構造である」
「我々は痛みに耐えて、あえてこのような改革を提案し、身を切る思いでがんばるつもりだ」


そういえばこういう論理は最近聞いたばかりだ。

「旧態依然たる土建国家型財政構造による無駄遣い、官僚天国・族議員政治にはいらだつばかりだが、この原因は郵便貯金を原資にした財政投融資という構造のせいである」
「我々は郵便局という支持基盤を失う痛みに耐えて、あえてこのような改革を提案し、身を切る思いでがんばるつもりだ」


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